高校野球の岩手県代替大会花巻地区予選(7月4日開幕)の組み合わせ抽選会が17日、花巻市内で行われ、同県史上初の夏3連覇に挑む花巻東は、初戦(同4日)で遠野緑峰と対戦することが決まった。プロ注目の最速145キロ右腕・松本遼大(3年)は、今夏の155キロと県制覇を目標に掲げ、今秋のドラフト指名に向けて「勝てる投手」をアピールする。沿岸南地区予選(同2日開幕)では現ロッテ佐々木朗希投手(18)を擁して昨夏準優勝の大船渡が、大槌と初戦。ともに勝ち上がれば、県大会1回戦(同12日)で3季連続の対戦が実現する。

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花巻東の松本は、初戦の組み合わせを聞き、気を引き締め直した。室内練習場のブルペンで、捕手のミットへ投げ込む力も自然と増した。「(佐々木)監督さんからも初戦が一番難しいと言われている。相手がどこであろうと1日1日、勝ちきることが大事。甲子園がなくなっても、岩手県初の夏3連覇を達成する気持ちに変わりはありません」。中止が決定した当日は3年生38人全員で涙を流した悔しい気持ちを切り替え、初戦から全力投球する準備を整えるだけだ。

187センチから投げ下ろすキレ味鋭い直球は、プロのスカウトも注目している。今冬は寮で食べ放題の生卵と納豆をおかずに、白米を朝3杯、夜6杯。昼も弁当に加えて、自身で握った大きなおにぎり2つを学校でほおばった。元重量挙げ日本代表の冨田史子トレーナーの指導を受けながら筋力もつけ、昨秋から14キロ増の92キロにパワーアップ。下半身の安定や体幹の強さが、制球や球質にも直結した。

花巻地区の初戦を勝てば、県大会進出が決まる。昨夏の県決勝で12-2、同秋の準々決勝で17-4(6回コールド)と圧倒した大船渡との再戦に注目が集まる。エンゼルス大谷、マリナーズ菊池らも背負った同校出世番号「17」を1年秋に背負った逸材は、最後の夏も同じ「1」が有力。「大谷翔平さんの投げっぷりは憧れる存在。自分も高卒でプロに行きたい。もっと精度を上げたいし、県大会までに球速10キロアップも可能だと思う」。先発でも抑えでも、チームの勝利に貢献するエースの自覚たっぷりだ。【鎌田直秀】

◆松本遼大(まつもと・りょうだい)2002年(平14)5月17日生まれ、岩手・滝沢市出身。滝沢二小5年に巣子野球スポーツ少年団で野球を始め、滝沢二中では軟式野球部。花巻東では1年秋からベンチ入りし、東北大会でも登板。187センチ、92キロ。右投げ右打ち。50メートル6秒7。遠投110メートル。家族は両親と姉。血液型A。目標の選手は同校OBのエンゼルス大谷。