夏の代替大会に出場する全国のドラフト候補を全5回で紹介する。第1回は「西日本編 (上) 」。

最速147キロ右腕・大分商の川瀬堅斗投手(3年)は150キロに向けて追い込み中。ソフトバンク内野手の兄晃と同じく高卒プロ入りを目指す。福岡大大濠の山城航太郎(3年)は最速149キロの投手と遊撃手の二刀流。龍谷大平安(京都)の奥村真大(3年)は、ヤクルト内野手の兄展征とはタイプが異なる右の大型内野手としてプロが熱視線を送る。

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大分商の最速147キロ右腕で主将の川瀬が、8月に甲子園で行われる交流試合で150キロ超えを狙う。4歳上の兄はソフトバンクの晃内野手(22)。堅斗もドラフト候補で目指すは兄弟でのプロ選手だ。

コロナ禍で活動自粛中だった3月11日、自宅のテレビで出場予定だった今春のセンバツ中止を知った。「頭が真っ白になった。悔しくて、すぐに切り替えられなかった」。夏の全国高校野球選手権大会も中止となり、甲子園で150キロの夢は絶たれたかに見えた。だがまさかのサプライズでチャンスが到来。「甲子園で150キロの球を投げるという目標を実現できる日がきた」と燃えている。

明大からドラフト1位で広島入りした同校OB、森下魂も伝承する。直伝のカットボールやチェンジアップも武器に聖地を楽しむつもりだ。昨秋、森下が大分に帰省した時に指導を受けた。「どうしたら直球と同じ投げ方で変化球を投げられるか。チェンジアップの握りや抜き方を習った」。渡辺正雄監督(47)が「タイプは違うが伸びしろは、森下と一緒。だが森下にないエンジンの大きさ、ダイナミックさがある」と評す逸材は、現在進行形でスケールアップ中だ。

中3の秋、交通事故で頭蓋骨骨折など、生死をさまよう大けがを負った。だが奇跡的な復活を遂げ、特に熱心とされる巨人、ロッテ、日本ハムなど12球団に注目される九州屈指の快腕に進化した。20日に初戦を迎える大分県独自の代替大会を制して甲子園の交流試合に乗り込み、高校生活の集大成を飾る。【菊川光一】