<甲子園高校野球交流試合:花咲徳栄3-1大分商>◇10日◇甲子園

甲子園交流試合が開幕し、日刊スポーツの評論家がプロの目で逸材をチェックする「プロ目線」に中西清起氏(58)が登場です。花咲徳栄(埼玉)と大分商に熱視線。最速148キロ右腕でプロ注目の大分商・川瀬堅斗投手(3年)はこの日最速143キロ止まりも「馬力がある」と評価しました。高校通算50本塁打の花咲徳栄・井上朋也内野手(3年)には「スイング軌道が非凡」とうなり、投打の逸材2人に◎をつけました。【取材・構成=酒井俊作】

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プロは現状での完成度を見て、これから先、伸びしろがあるかを見極めるものだ。川瀬君と井上君。将来的に楽しみだ。2人とも体格がよく、期待が持てる。

川瀬君は馬力がある印象。速球は強く押し込む質感がある。特にインサイドの球は、目を見張るものがある。3回無死一塁は内角速球でファウルにしたり、次打者への四球になった142キロ速球は際どく懐への強い1球だった。表情には出さないが、阪神の新人、西純矢と似たタイプだ。

ただ、私から見て「もったいない」部分があったのも確かだ。高めに抜ける球が目立ったが、始動して後頭部が一塁側に傾いてしまっている。「胸を張る」意識が早すぎる。体重移動の際に「かかと体重」になって踏み込んだ時、左膝が一塁側に逃げている。真上から投げる意識が強すぎるのかもしれない。ポイントは頭の使い方。キャッチボールなどで、アゴをもう少し引く意識づけをすればいい。左膝がしっかり捕手方向に向き、左足で体重を受け止められれば、もっと強くスピンの効いた球になるだろう。

井上君はバットの出方がいい。5回、三邪飛に倒れた打席は内角高めの速球を打ったがバットがしっかりインサイドから出ている。プロでもなかなか内角をさばけない。詰まらされたがスイング軌道に非凡な雰囲気を感じた。構え方は巨人でもプレーした村田修一氏のようにどっしりと球を呼び込む感じで、強打者で長打を打てる構えだ。自分のポイントで見送っているし、呼び込んで見逃せている。2四球だけにもう少し打席を見たかった。

最後に、花咲徳栄の先発左腕、高森陽生君(3年)を挙げよう。174センチと小柄だが、面白い投球をしていた。球の切れもあるし、打者の反応を見ても、左腕の出どころが見えにくそうだ。大学などで体を鍛えれば、将来、ドラフトにかかってくるかもしれない。マークしていい選手だろう。