古豪復活へ、1歩を踏み出した。79年以来2度目の甲子園出場を狙う第3シード久慈が伊保内に15-2で5回コールド勝ちし、16強入りを決めた。「3番遊撃」でフル出場した野崎陸斗内野手(3年)が1回の先制適時打を含む3安打3打点の活躍で、中軸の役割をしっかりこなした。

勝負強さを存分に発揮した。1回1死二塁で迎えた今大会初打席は「自分が打って先制点を取ることを意識してバッターボックスに立った」。闘志はみなぎっていたが頭は冷静だった。2球目の緩い変化球を無理に引っ張らず、逆方向への左前適時打で先制。チームは3回までに9得点し主導権を握ったが、4回に2失点。直後の4回1死満塁のチャンスでは「(失点を)取り返すためにつなぎを意識した」と、2点中前適時打で突き放し、コールド発進に貢献した。

指揮官の狙いに応えた。柴田護監督(50)は「野崎の1番良いところは本番に強く勝負強いところ。今日初めて3番で使って、期待に応えてくれた」と活躍を喜んだ。これまでは出塁を求められる1、2番での出場が多かったが、今夏初戦は得点源として期待される3番に座った。「1、2番の時は自分が出る役割だったが、今は3番なので自分が打ってかえせるようにしたい」。打順は変わったが、チームの勝利を第一に考える思いは不変だ。

王者との1戦を自信に変える。今春の県大会準決勝は、優勝した花巻東に延長12回サヨナラ負け。粘り強い野球で公立校の意地を見せた。今大会も勝ち上がれば、花巻東や第2シードの盛岡大付などの強豪私学が立ちはだかる。宇部天翔主将(3年)は「自分たちはチャレンジャーとして1戦ずつ戦う気持ちで、最後は頂点に立てるように頑張りたい」。県3位の実力をぶつけ、岩手の高校野球界に新風を吹き込んでみせる。【相沢孔志】