9回表、日本文理の攻撃を見逃し三振で締めた新潟産大付・西村駿杜投手(3年)は雄たけびをあげながら小走りで一塁側ベンチに戻った。「マウンドに集まった時、『最後を三振で終えたら逆転してやる』とみんなが言ってくれた」。チームメートの気持ちに渾身(こんしん)の速球で応えた。

初回に満塁弾を浴びた後も「ここで切れてはだめ」と自分に言い聞かせて気持ちをつないだ。7失点するも、終盤に140キロ台の直球を投げ込むなど能力の高さをみせつけた。ただ、9回裏の味方の攻撃が終わると、体の力が抜けるのを感じた。

春季県大会で初優勝し、ライバル校のターゲットになった。重圧の中、夏に照準を合わせて調整し、決勝の前までは3試合登板し無失点。期待通りにチームを引っ張ってきた。吉野公浩監督(54)は「ここで終わる投手ではない」。西村も「上のレベルでこの悔しさを晴らしたい」と涙を見せずに高校野球を終えた。【斎藤慎一郎】