高知・森木大智投手(3年)が初の甲子園目前で散った。8回まで2失点で力投し、追いついた直後だ。9回は限界だった。先頭に死球で次打者に2暴投…。自滅で三塁まで進まれ、降板した。直後に3失点。敗戦直後は涙が止まらなかった。

「やりきりました。(9回は)右手に力が入らなかった。修正しようにも手が言うことをきかない。無理でした。初体験だった」

剛腕の意地も光った。1回2死一塁。相手4番にこの日最速の151キロでストライク。2回に自らの暴投で先制点を許したが、走者を出しても要所を締めた。中学軟式で史上初と言われる150キロを投げ、球界を騒がせた。この日も10球団23人のスカウトが視察し、高校でも非凡さを示した。

内野ゴロで全力疾走を怠らない。野手とハイタッチして守りに向かう。孤高のエースではない。「最後まであきらめずにみんなで全力で戦った経験はこれから先の糧になる」。試合後、代木と言葉を交わし「何とか勝ってくれ。俺らの分も絶対、優勝してきてくれ」と伝えた。「プロにドラフト1位で行ってプロ1年目から活躍できるように成長していきたい。日本を代表する投手になりたい」。プロ志望を明言し、土佐から世界に挑む。【酒井俊作】

▽高知・浜口佳久監督(高知中から森木を指導)「森木も6回くらいから抜けた球が増えた。最初から飛ばして最後に力尽きたかな。マウンド上で集中して自分の力を出していたと思う」

▽巨人榑松スカウト統括(森木について)「ちょっと力を入れれば150キロが出る。(中盤まで)疲れを感じさせない投球。投げる体があるし、素晴らしい」

▽ヤクルト橿渕スカウトグループデスク(森木について)「疲労感があっても、左打者のインコースに投げ込んでいく強さがあった」