星稜・林和成監督(46)の目は赤く潤んでいた。国学院久我山に接戦の末の敗戦。今大会限りの勇退が決まっており、ラスト采配となった。

「幸せな野球人生、監督生活だった。この景色を見るのは最後と、目に焼きつけた」

監督として、春夏通算で9度の甲子園出場(20年センバツは大会中止)。泣きじゃくる選手に「よく頑張った。お前たちはこれから」と声をかけ、健闘をたたえた。

勝負の継投も悔いはない。2-1の5回途中から「エースで打たれて負けたら仕方ない」と、27日2回戦で6回1失点のエース右腕、マーガード真偉輝キアン投手(3年)を救援に送った。だが、同点とされ、さらに、相手4番に痛恨の勝ち越し2ランを浴びた。

「もっと(林監督と試合を)やりたかった」と号泣したマーガードは「夏に成長した姿を林先生に見せたい」と誓った。

林監督は言った。「高校野球とは一線を置き、一ファンとして遠いところから見ていきたい」。星稜監督としてのタクトは置くが、教え子のさらなる成長を願う思いに変わりはない。【菊川光一】