室蘭地区で、北海道大谷室蘭が浦河を12-0で下し、4年ぶりの秋全道進出へ王手をかけた。坂本亘監督(52)の次男壮吉捕手が、阿部峰士、三島大輝(いずれも2年)の2投手を好リード。無失点リレーに貢献し、打撃でも、4回2死三塁で中越え適時二塁打を放つなど2安打1打点と気を吐き、勝利を呼び込んだ。

坂本が父の助言を生かし、攻守で勝利に尽力した。3回に今秋初安打を放つと、4回2死三塁では1ボールから「しっかりライナーを打つことだけ考えた」とフルスイング。鋭い打球は一気に中堅手の頭を越える、8点目の適時二塁打となった。

1年春からベンチ入りし、昨秋から正捕手。攻守の中心で、新チーム始動時は打撃でも中軸を担ってきたが、夏場の練習試合で調子が上がらず、今大会は6番に打順を落とした。初戦の苫小牧工戦は無安打に終わり、NTT北海道の内野手だった父亘監督から「右中間や、逆方向を意識してみなさい」と助言を受けていた。4回のタイムリーは、その教え通り、逆らわずに、中堅方向へ打ち返し、チームを勢いづけた。

配球でも、父の言葉が心のよりどころになった。2回1死、1ボール2ストライクから内角に変化球を要求し死球を与えると、ベンチに戻り父に諭された。「全球種使う必要はない。ピッチャーのいいボールを。大胆にリードしてみなさい」。2回以降、毎回走者を出すも、2投手を操縦し無失点リレー。3回2死一塁では二盗を阻止し「父の言葉で余裕を持って配球や守備に臨めた」と感謝した。

兄貫太さん(日大4年)は18年春全道4強メンバー。5学年下の坂本は「兄はあこがれの存在。同じところでやりたかった」と北海道大谷室蘭を選んだ。選手寮から道路を挟んだ反対側に自宅があり、高校も徒歩圏だが、人生勉強のため、あえて入学時から寮生活をする。父が監督で気を使うこともあるが「僕は父と甲子園に行きたい。兄が果たせなかった夢を果たしたい」と、強い口調で話した。

4年ぶり秋全道に向け、17日の代表決定戦は昨夏南大会4強の北海道栄と対戦する。「僕らは挑戦者。全力でいくだけ」。大きな壁を越え、センバツへの道を切り開く。【永野高輔】