今夏甲子園4強の聖光学院が、光南との「今夏決勝カード」を7回コールドで制し、8強を決めた。松尾学武(がくむ)外野手(2年)が、先制適時打を含む2安打2打点で初戦突破に貢献した。中学時代は赤堀颯前主将(3年)と同じ枚方ボーイズでプレーし、先輩の背中を追いかけて福島の名門に入部した男が、初戦から存在感を示した。

今大会初打席が好機でも、松尾は冷静だった。1回無死一、二塁。三好元気外野手(2年)の犠打で走者を進めた後、右打席に入った。「三好が送ってつないだチャンス。後ろのバッターにつなぐ意識で、自分ができる力を最大限発揮しようと思った」。2ボールから130キロ直球を捉え、先制の2点中前適時打。チームに勢いをもたらし、この回4得点。3回は中前打で出塁後、5点目のホームを踏んで突き放した。

甲子園4強の中心にいた赤堀前主将とは中学時代、同じチームに在籍。赤堀は自身最後の夏にプレーと姿勢で鼓舞し、U18W杯に臨む高校日本代表に選出された。松尾は「一言で言えば、素直にかっこいいと思います。代表に選ばれた安田(淳平)さんも赤堀さんも憧れの先輩。自分も頑張らないといけないと思いました」と、刺激を受けた。

新体制の初陣で打線は、1回先頭の2四球を含む6四球を選び、7安打でコールド勝ち。斎藤智也監督(59)は「公式戦の初戦では出来すぎ。ヒットの本数はまだまだ足りないけど、打線は去年と別な意味でつなぎや得点力は期待している」と評価した。

2年連続4強をかけた準々決勝は、東日本国際大昌平との「今夏準決勝カード」。「甲子園の組み合わせもすごかったけど、今回は夏に上位で対戦したチームに囲まれている。これを乗り越えることによってチームの力はどんどん伸びる」と指揮官。雪辱に期す相手を振り切り、さらなる高みを目指す。【相沢孔志】