21世紀枠の氷見(富山)は善戦およばなかった。昨秋の富山大会で優勝。自信を持って臨む30年ぶりの甲子園のはずだった。

アクシデントが襲っていた。今月3日からの徳島遠征。その初日、5人ほどがインフルエンザで体調不良に陥った。すぐに徳島を引き揚げて氷見に戻った。練習試合を重ねる中で集中的に仕上げていくプランはかなわなかった。

さらに大黒柱の最速143キロ右腕、青野拓海投手(3年)が大阪入り後、腰痛を発症した。130キロ前半しか球速が出ず、変化球に頼らざるを得なかった。初回は11球のうち直球が2球だけ。異変は明らかで、青野の状態を知るナインの間にも不安は広がった。

だが、青野は初回2死から必死に走って敵失を誘い、橋本瑛信外野手(3年)の先制適時打を導いた。投打で注目選手だった青野。打席では2安打と意地を示したが試合後の表情は硬かった。「打たれて当然です。コンディション調整をできなかったことも含めて自分の実力不足」と言い訳しなかった。

2回に1-2と逆転されたが、エースが終盤まで大量点を許さず、最後まで望みはつないだ。その戦いぶりに、アルプス以外からも大きな拍手が送られた。

村井実監督(59)は悔しそうに振り返った。「最初の得点のあと、追加点を取れればこっちのペースになると思ったけど、難しかった。全然、打線がつながりませんでしたね。また、夏です。現状のレベルでは、甲子園で戦おうと思ったら難しい。策を講じます」。コンディションを敗因とはせず、実力不足を受け止めた。