元日本ハム投手、芝草宇宙監督(53)率いる帝京長岡(新潟)が小松大谷(石川)に9-6で打ち勝ち、準決勝に進出した。北信越大会は春と秋を合わせて4度目の出場で初勝利になった。3番浮ケ谷航平一塁手(3年)が1回表に左翼へ先制ソロを放ち、その後も二塁打2本を連ねて、長打ばかりの4打数3安打2打点。毎回の14安打を放った打線に火をつけた。帝京長岡は4日、準決勝で星稜(石川)と対戦する。

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浮ケ谷が右の拳を高々と突き上げた。「いい感じで打てた」。ライナー性の打球が左翼席に飛び込んだ瞬間を見届けると、大きくガッツポーズをした。

1回表2死走者なしで内角低めの直球をとらえた。春季県大会の2本に続き、今季公式戦3号。「インパクトを強くして打つ」。台風の影響で大雨になった前日2日、石川県内の高校の室内練習場で打ち込んだ。その時のイメージ通りに鋭く振り抜けた。

これで乗った。3回の2打席目は中越えの二塁打で、8回の5打席目は2死一塁からスライダーをとらえて左中間に適時二塁打。「今度は(スライダーを)打ってやろうと思っていた」。苦手だった変化球に対応するため、冬場にトップの位置が後ろに入りすぎないようにフォームを修正した。県大会の2本塁打も変化球を打ち返したものだった。県外の強豪相手の公式戦でも成果が表れた。

浮ケ谷が火付け役になり、帝京長岡は毎回の14安打で9得点。21年秋以来、4度目の北信越大会で初勝利をもぎ取った。芝草宇宙監督は「うまく打てた」。同時に、「走塁、守備で締まらないプレーがあった」と追加点を狙った場面で重盗を失敗するなど細かいミスを指摘した。選手は今日4日の星稜戦を見据え、宿舎に帰ると反省のミーティングを行った。気持ちに緩みはない。

浮ケ谷は「歴史を変えるのが自分たちの目標。勝って1つ変えられた」と胸を張る。そして「有名な星稜に自分たちの野球をやって勝ちたい」。さらに歴史の1ページを書き換える決意を見せた。【斎藤慎一郎】

○…7番長沢光琉左翼手(3年)が5の5で1打点をマーク。5-2の7回表2死一、二塁で左中間に二塁打を放ち、貴重な追加点となる6点目。9回表も1死一、二塁から左前打で満塁にしチャンスを広げた。春季県大会は打率1割台と絶不調で、北信越大会で背番号は7から16に変更。1年夏県大会以来の2桁番号に「悔しかった」と言う。芝草監督に「初心に戻ってみろ」とアドバイスされ、逆方向の打球を意識した。「差し込まれず、自分の打撃ができた」と笑顔だった。