高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。
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<高校野球鹿児島大会:加治木11-5種子島>◇2日◇1回戦
種子島ナインは最後まで諦めなかった。鹿児島大会開幕戦の加治木戦。9点差で迎えた最終回。2連打などで無死満塁とし、1番林田青(あお)主将(3年)の三遊間を破る適時打で2点を返した。さらに1点を奪い、3得点。四位仁史監督(32)は「『打つしかないぞ』と選手に言った。最後まで食らいついてくれた」。地元は種子島宇宙センターがあることで有名で、それになぞらえ、指揮官はチームの攻撃力を「ロケット打線」と命名。試合には敗れたが、最後に意地の“打ち上げ成功”を決めた。
離島のハンディとチーム一丸で向き合った。鹿児島市内まで約115キロに位置し、海路で1時間半ほどかかる。そのため、島外への遠征は年数回。年末は女子マネジャーも含む野球部全員が遠征費などの足しにするため、地元企業でアルバイトを行う。今春から統一する白スパイクは自らで稼いで購入したものだった。
3年生6人、2年生9人の計15人で挑んだ夏は初戦敗退に終わった。だが、林田主将の目に涙はなかった。「離島から甲子園を目標にしていたけど、やり切った。チームのみんなが自分を支えてくれて感謝しかないです」と、すがすがしかった。【佐藤究】

