小郡が10安打13得点の5回コールド勝ちで7季ぶりの県大会1勝を手にした。
ようやく初戦の壁を乗り越えた。就任12年目の石井恭平監督(40)は「毎年、部員も少なく、勝負にならないことが多かったです。今大会は久しぶりにベンチ入りメンバー20人そろって戦うこともできた」。21年春に県大会で1勝して以来、夏に限れば19年以来の1勝に「選手たちに力はないですが、一生懸命になって練習してきた成果です」と褒めたたえた。
初回に3点を挙げ、なおも2死二、三塁。8番山本航大内野手(3年)は外角直球を流し打ち。右前へ2点適時打を放ち、この回に一挙5得点を奪った。石井監督は「彼(山本)は高校から野球始めて、ここまでに成長してくれるとは…」と目尻を下げた。
山本は良山中では卓球部に所属。久留米市内で2位という腕前で、県内の強豪私学から推薦を受けていたほどだったが、「小学生の頃から野球が好きだった。でも(野球の)ボールが怖くて…。勇気を持てずに、自分が野球をやろうと思わなかったけど、高校からはどうしても野球をやってみたいなと思った」と同校へ進学を決めた。
家族からの「大丈夫なの?」という不安も押し切り、念願だった野球部に入部した。だが、「最初は打てなかったし、ボールも取れなくて、何度も辞めそうになりました」と現実はそう甘くなかった。入部当初は100キロ程度のボールにもバットは当たらなかった。「正直、悔しかったです」。学校の練習を終え、帰宅してからの100回以上の素振りを日課にした。1年冬頃には「めちゃくちゃなスイングがまともになってきた」と絶え間ない努力が実を結び始めた。
この試合で放った右前打は「内野安打以外のヒットを打ったのは人生で初めて。野球をやって良かったと思える瞬間でした」と声を弾ませ、「後悔のないように全力でプレーして、お世話になった方に恩返しがしたい」と最後の夏へ決意をにじませた。

