歴代最多の高校通算140本塁打を誇る花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(3年)が、甲子園で2度目となる“猛打ショー”で10年ぶりの8強入りに導いた。智弁学園(奈良)戦で、6回の中前適時打を含む5打数3安打1打点。待望の1発こそまだないが、今大会は通算12打数6安打2打点と好調を維持している。19日の準々決勝は昨夏王者・仙台育英(宮城)との東北対決が実現する。

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佐々木麟が甲子園に力強い打球音を響かせた。4-1の6回2死一、二塁。初球の内角低め137キロ直球を強烈なセンター返し。智弁学園を突き放す適時打を決めた。初回は左前打、3回は中前打と初戦以来の3安打に「しっかり強いスイングができたので、自分にとってプラスに捉えたい」。ノーステップ打法に変えた2回戦は4打数無安打。この日はステップしながら打つ従来のフォームに戻し、大当たりだった。

今大会通算は12打数6安打の打率5割。すべてが単打で岩手大会を含めても長打は1本もない。それでも「勝っても負けても後悔のないように」と臨んだ3回戦は、適時打に加えて2度の生還など花巻東の勝利へコツコツと貢献した。

高校入学時から大切にしてきた言葉がある。「貢献こそ活躍」-。寮の自室には、自らが半紙に書いた6文字が壁に貼ってある。「チームが勝つために、どれだけ内容や質を高めていけるかは、あの言葉からすごく意識しています」。

高校歴代最多本塁打を誇る大砲も「センスがない」「不器用」だと自認する。「足も遅かったですし、取りえはあまりない」と誰よりも練習した。中学時代はエンゼルス大谷の父徹さん(61)が監督を務める金ケ崎シニアでプレー。「野球人としての芯の部分をすごく学びました」。チームのために全力で走り、全力で打って守る-。大谷監督の教えが、個人成績よりもチームの勝利を最優先する佐々木麟の原点だ。

昨夏王者で強力投手陣を擁する仙台育英と準々決勝を戦う。「東北勢初優勝は、すごい刺激になりましたし、そういうチームと甲子園の場で戦えるのは楽しみです」。公式戦では21年10月の秋季東北大会準々決勝以来の対戦。当時通算47発の1年生だった佐々木麟は、4打数2安打で勝利の原動力になった。

「逆襲」を掲げる夏に快進撃を続ける。「(菊池)雄星さんや(大谷)翔平さん、その他OBの先輩方の思いも背負い戦っている大会だと思っています」。東北対決を制すれば、悲願の「岩手から日本一」も見えてくる。【山田愛斗】

 

 

◆3度目の東北対決 花巻東が準々決勝で仙台育英と対戦。今大会では2回戦の八戸学院光星7-0ノースアジア大明桜、仙台育英8-2聖光学院に次いで3度目の東北対決になる。1大会3度は15年夏の2度(仙台育英4-3花巻東、仙台育英6-3秋田商)を上回り、春夏を通じ史上初。

 

◆岩手対宮城 花巻東は準々決勝で仙台育英と対戦。過去の岩手対宮城は春夏通算3度あり、通算2勝1敗。いずれも花巻東が絡んだ。菊池雄星(現ブルージェイズ)がいた09年は春夏とも勝ったが、15年夏は平沢大河(現ロッテ)、郡司裕也(現日本ハム)らの仙台育英に3-4で惜敗。

 

◆東北勢3校が8強 夏の大会で複数の東北勢が8強入りしたのは11度目。過去10度はいずれも2校で、3校が進出は史上初。複数の東北勢が4強入りすれば89年(仙台育英=準V、秋田経法大付=4強)、13年(花巻東、日大山形=ともに4強)、22年(仙台育英=優勝、聖光学院=4強)に次いで4度目となる。