秋季高校野球が29日、全国各地で行われた。関東大会決勝は作新学院(栃木1位)が山梨学院(山梨1位)を下し、7年ぶり6回目の優勝を果たした。つなぎの「コツコツ打線」で、後半、一気に畳みかけた。1点差に詰め寄られた7回に単打8本をつなげて一挙6得点で突き離すと、8回にも5連打で3得点。28安打13得点で連覇を狙う相手を打撃でねじ伏せた。作新学院は、11月15日から行われる第54回明治神宮野球大会に出場する。

   ◇   ◇   ◇   

ここぞの場面で単打でつなぐ「コツコツ打線」で関東王者をつかんだ。小針崇宏監督(40)は「県大会とは違うチームに感じる」と、練習の成果を発揮した選手たちを笑顔で見つめた。

県大会の反省が、選手たちを変えた。準決勝は国学院栃木に先制されながら、タイブレークの末に勝利。決勝戦の白鴎大足利戦は中盤に逆転。小針監督は「優勝ができた安心感よりも危機感の方が大きかった」と振り返った。

「打てないと勝てない」と痛感した選手たちは、関東大会までの21日間、打撃練習に力を入れた。全体練習後の自主練習も午後10時半ごろまで残ってバットを振った。この日4安打1打点の斎藤健之介内野手(2年)は作新打線を表現する。「大きい1本を打てる選手はいませんが、打線になってつなぐイメージです」。今大会は3試合で本塁打は1本も49安打。バントが少なく攻撃的な作新野球で、2番の斎藤も「相手のスキをつくのが役割」と単打を重ねた。

7年前も、地元開催の秋季関東大会で優勝。明治神宮大会、センバツ出場を果たした。小針監督は「スターがいない。平均的な選手がたくましく野球をやる雰囲気が、あの時のチームと似ている」と、重ねた。コツコツつなぎ、力強く前へ突き進む先に、全国の頂点が見える。【保坂淑子】