16年ぶりのセンバツ勝利に、金田優哉監督(40)は校歌をベンチ前で聞きながら、甲子園球場を見渡した。「うれしかったですね。自然と笑顔になるというか。16年という時間が経っていましたから。この瞬間を待ちわびていた。選手たちがすごく頼もしく見えました」。笑顔で選手たちを迎え入れた。

最後まで選手たちを信じた。プロ注目の最速150キロ左腕、末吉良丞投手(3年)に対し「速さよりも質がなかなか当たるボールじゃない。高めの真っすぐの目付け。低めの目付け。高めと低めにポイントを置いてしっかり打っていこう」と指示を出した。

前半、劣勢の展開にも「自分たちの野球を最後まで貫きたかったから」と、指示は変えなかった。1巡目、2巡目でも焦らない。「いままでやってこなかったことをやり出すとハマってしまう」。いつか攻略の糸口が見えるはず。指揮官の思い通り、8回、相手の守備のミスに、末吉投手の球威、キレが落ちてきたと見るや、自信のあるスイングで一気に攻略した。1死満塁の場面では「秋の東京都大会決勝でも満塁でセンターオーバーを打っている。蔦原ならやってくれる」と、蔦原悠太外野手(3年)を打席に送ると、逆転の中越え適時二塁打。先発の仁礼は、沖縄尚学・末吉投手と球速が約20キロ近く遅くとも、丁寧に打たせ、バックもノーエラーで盛り立てた。

選手を信じる力を采配に生かし、昨夏の王者を破った。前田三夫前監督(76)へ何て報告するかを聞かれると「いやぁ、すぐに電話したいです(笑い)。喜んでくれると思う。ウイニングボールをもらったんですが、前田監督はいらない、と言うと思うんです。でも、見せたいと思います」。そう言って再び笑を浮かべた。「1戦必勝ですが、まずはしっかり準備をしたい」。新たな帝京の歴史を築く春が、動き出した。【保坂淑子】

◆帝京の前回甲子園勝利 11年夏の1回戦で花巻東と対戦。7-7で迎えた7回表、2死一、三塁で4番松本剛(3年=現巨人)が花巻東の2番手大谷翔平(2年=現ドジャース)から右前へ勝ち越しの適時安打を放ち、8-7で勝った。大谷は打つ方で6回に同点の2点適時安打を放ったが、投げる方では甲子園初登板で初黒星となった。

◆帝京が初戦9連勝 帝京は森本稀哲(現日本ハムコーチ)らを擁した98年夏から、甲子園の初戦で春夏通算9連勝。継続中の学校では早実(10連勝中)に次ぎ、習志野(9連勝中)に並んだ。過去最長は明徳義塾の20連勝。

【センバツ】崇徳-八戸学院光星 開幕戦は帝京が逆転勝ち 第2試合は中京大中京が勝利/速報