帝京(東京)が開幕試合で昨夏の甲子園王者・沖縄尚学に4-3で逆転勝ちし、15年ぶりの甲子園白星を挙げた。1点を追う8回に蔦原悠太内野手(3年)が試合をひっくり返す2点タイムリー。鈴木優吾捕手(2年)も追加点の2点適時打を放ち、昨夏のV腕末吉良丞投手(3年)らを打ち崩した。中京大中京(愛知)は阿南光(徳島)を3-1で下し、センバツ単独最多の59勝目。八戸学院光星(青森)はタイブレークの10回に延長史上最多の9得点を挙げ、15-6で崇徳(広島)に大勝した。

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執念の一打が、鮮やかな逆転劇をもたらした。1点を追う8回1死満塁。帝京・蔦原が、沖縄尚学・末吉の直球を捉えた。ライナー性の打球は中堅フェンスを直撃する逆転の2点タイムリー二塁打。一塁側アルプスが沸き返った。「命を懸けてやりました。チャンスボールと思って打ちにいったら、最高の結果になりました」と会心の笑顔だ。なおも2死満塁で、鈴木が2番手新垣から右前に2点適時打を放ち3点差に拡大。昨夏全国制覇に導いた左右の2枚看板を攻略した。

末吉対策がズバリとハマった。最速150キロ左腕の高めの直球に対応するため、打撃練習では、左投手が約10メートル前から投げる特別メニューを組み込んだ。打つボール、打たないボールを見極める目付けを徹底。球威が落ちてきた終盤にたたみかけ、マウンドから引きずり降ろすことに成功した。9回に2点をかえされたが、同点は許さず逃げ切った。甲子園では11年夏の1回戦から15年、実に5338日ぶりの白星だ。

昨秋の東京大会で、ナインは帽子のつばの裏に金田優哉監督(40)直筆の「魂」のひと文字を入れて戦った。このセンバツから帽子を新調。今回は記していない「魂」は、みんなが胸の奥に宿して戦った。主将の池田は「僕らはこの帝京のユニホームを着て全員で戦う。今日はみんなで『魂』を見せられた」と胸を張った。代々受け継いできた「帝京魂」は健在だ。

金田監督は甲子園51勝を挙げた前指揮官の前田三夫名誉監督(76)から21年秋にチームを引き継ぎ、甲子園初出場初勝利。「この瞬間を待ちわびていたので。まずは1勝できたよかったです」と感慨深げだった。チームの合言葉は「帝京は出るだけで終わりじゃない」。甲子園優勝3度。帰ってきた舞台で狙うはただ1つ。春34年ぶりの頂点だ。【平山連】

◆帝京の前回甲子園勝利 11年夏の1回戦で花巻東と対戦。7-7で迎えた7回表、2死一、三塁で4番松本剛(3年=現巨人)が花巻東の2番手大谷翔平(2年=現ドジャース)から右前へ勝ち越しの適時安打を放ち、8-7で勝った。大谷は打つ方で6回に同点の2点適時安打を放ったが、投げる方では甲子園初登板で初黒星となった。

◆帝京が初戦9連勝 帝京は森本稀哲(現日本ハムコーチ)らを擁した98年夏から、甲子園の初戦で春夏通算9連勝。継続中の学校では早実(10連勝中)に次ぎ、習志野(9連勝中)に並んだ。過去最長は明徳義塾の20連勝。