花咲徳栄(埼玉)のプロ注目の最速146キロ右腕エース、黒川凌大投手(3年)が2失点完投で初戦突破に導いた。
粘りの投球だった。「内に入った球に強いと聞いていたので、外で勝負した。前半、ピンチになった時でも、打たせてとる投球ができた」と、右打者の外角の真っすぐを軸に、フライアウトの山を築き、味方の援護を待った。岩井隆監督(56)も「打線がなかなか点取れない中で、ピッチャー黒川の粘りが非常に大きかった」と、エースの粘投をたたえた。
家族の言葉が支えた。母琴美さん(58)は元柔道家で、現役時代は72キロ級の選手として85年にアジア選手権で優勝するなど活躍した。琴美さんは、初戦を前に「大恥をかいてこい」と声をかけた。黒川は緊張がほぐれ「打たれてもいいと思って投げられました」と、感謝した。
両校は03年春の準々決勝で対戦。引き分け再試合の末、東洋大姫路がサヨナラ勝ちした。黒川はこの試合の動画を中学時代に見た。「同じ舞台に立ってみて、ピンチの場面は応援もありますし、周りの声も聞こえない。緊迫した試合だったんだとあらためて思いました」と、当時と重ね合わせた。そして「当時も粘りの投球したからこそ、引き分け再試合になったと思います」と、先輩に続いた。23年前のリベンジを果たし、大舞台で胸を張った。
◆引き分け再試合の雪辱 花咲徳栄は03年春に引き分け再試合となった東洋大姫路戦で敗れていた。甲子園の引き分け再試合は過去24度あり(16度、夏8度)、同じカードの再現は37年春の岐阜商5-2愛知商、11年夏の作新学院6-3八幡商に次いで3度目。再現試合で雪辱したのは花咲徳栄が初めて。
◆両校の前回対戦 03年春の準々決勝で東洋大姫路はベトナム国籍の左腕グエン・トラン・フォク・アン、花咲徳栄は福本真史がともに当時の規定上限となる延長15回を2失点で完投して引き分け。アン191球、福本220球だった。翌日の再試合も延長戦になり、アンと福本は救援登板。10回裏に3番手福本がサヨナラ暴投で力尽き、東洋大姫路が6-5で4強入りした。

