神戸製鋼と明大で監督を務め、横浜などでスカウトも務めた荒井信久氏(57)が、千葉黎明(千葉)の監督として初の甲子園に挑む。生まれ故郷に近い同校で、6月13日に就任。神宮、後楽園とアマの聖地を知る同監督が「やり残している」というのが高校野球だった。

 1県1代表制でなかった高校時代、成東の正捕手として東関東大会に2年連続出場。70年は決勝でサヨナラ負け、1学年下の剛腕鈴木孝政(元中日)と組んだ3年時の71年も準決勝敗退と、憧れの舞台はあと1歩だった。大学、社会人で日本一を経験したが、スカウトで甲子園を訪れるたびに思いがよみがえった。

 昨年、教員免許を取得。今年4月に千葉黎明の理事に就任、同時に野球部総監督となった。1カ月前から現場で指揮し「甲子園で上位に行くイメージをして練習しよう、と伝えている」と培った経験を注入。昨春県4強の原動力となった右腕猪川優一投手(3年)を中心に、千葉制覇を狙う。

 ◆荒井信久(あらい・のぶひさ)1954年(昭29)3月19日生まれ。千葉・松尾町(現山武市)出身。成東(千葉)-明大-神戸製鋼。87年秋から神戸製鋼監督。92年バルセロナ五輪でコーチとして銅メダル獲得に貢献。96年から01年まで明大監督。04年から4年間、プロ野球横浜のスカウト部長。08年はオリックススカウト。家族は夫人と1女2男。