<高校野球秋季静岡大会:日大三島6-2御殿場西>◇2日◇東部地区決勝◇愛鷹球場

 東部の日大三島は相手守備の弱点を突くなど、御殿場西を破り5年ぶりの優勝を果たした。

 小雨の降る愛鷹のマウンドで日大三島の今村拓投手(2年)が顔を真っ赤にして最後の力を振り絞った。13安打浴びながら2失点。1年からエースと呼ばれながら故障がちだった右腕は、上級生になり打たれ強い大黒柱に成長した。秋は5年ぶり、そして春秋連続の東部王者はほかに、佐伯勇斗(2年)抱井駿(2年)小沢拓馬(1年)ら個性的な投手陣を形成する。

 一方の打線は非力だが、ひたむきさといい意味での「ずる賢さ」で6点を奪った。同点の3回1死二、三塁。今村が遊ゴロで三塁走者の遠藤嵩太内野手(2年)が捕手の動きを見極め、タッチをかいくぐった。決して足は速くないが、1回にも二盗を成功させ、先制のホームを踏むなど貪欲な走塁が光った。

 4回には井上航外野手(2年)のスクイズが敵失を誘った。転がしたのは身長169センチ、90キロの岩間勇平一塁手(2年)の前。夏まで外野手だった巨漢の一塁守備に難があるとみた日大三島ベンチは、4本のバントを一塁前に転がすなど揺さぶり続けた。

 山田潤平主将(2年)は「打てない分、何とかする。そういう野球をやろうと決めたんです」と照れたように笑った。ひと味違う「三島のレッドソックス」が目指すのは28年ぶりのセンバツだ。【久我悟】