<高校野球西東京大会:国士舘6-5早実>◇24日◇準々決勝◇神宮

 「勝利の方程式」がこの日も決まった。3点リードの6回表2死満塁。長打なら同点の場面で、国士舘の津島駿平一塁手(3年)が本職の一塁からマウンドに上がった。右腕は打者を1球で遊ゴロに打ち取り、ピンチを脱した。7回もマウンドに上がり1死一、二塁で左打者を迎えたところで、先発したエース左腕真下健太投手(3年)に再びスイッチし、一塁の守備に戻った。「最少失点に抑えられて良かった」と、早実との接戦を制した。

 これが国士舘の必勝リレーだ。真下が先発し、ピンチになると津島がマウンドに上がり、真下は一塁へ。ここまで4試合中3試合はこのパターン。00年に阪神でおなじみとなった「遠山→葛西→遠山」の必勝リレーと同じように「真下→津島→真下」のリレーで勝ち上がってきた。

 箕野豪監督(36)は「阪神のリレーは意識してないが、野球は確率のスポーツ。確率で考えていくと、左打者には左投げの真下。右打者には右投げの津島を使えば抑えられる」と説明した。新チーム結成後からこの起用だが、真下も津島も「チームが勝つためなので、抵抗はありません」と口をそろえた。

 今大会5試合でわずか9失点。ピンチを最少失点で切り抜け、ノーシードながら準決勝まで駒を進めた。甲子園まであと2つ。津島は「甲子園でもこのスタイルで投げたい」。本家阪神の本拠地で必勝リレーを披露できるのか-。【細江純平】

 ◆遠山-葛西リレー

 阪神の監督だった野村克也氏が「松井秀喜対策」として左打者に対しては左投手、右打者には右投手を使い分ける投手リレーで当時話題となった。左投げの遠山と右投げの葛西が相手打線の左右に応じて、一方が一塁手として待機した。