<高校野球新潟大会:日本文理7-5村上桜ケ丘>◇25日◇決勝◇ハードオフ新潟

 日本文理が村上桜ケ丘に逆転勝ちし、2年ぶり7度目の甲子園出場を決めた。「越後のダルビッシュ」村上桜ケ丘の椎野新投手(3年)から9安打を放ち、7得点を奪い攻略。投げては3回途中からリリーフした大谷内睦規投手(3年)が10安打されながら3失点と、粘りの投球で夢舞台へのチケットを手にした。09年に県勢初の全国大会準優勝を成し遂げた日本文理が、再び旋風を巻き起こす。

 最後の打者が遊ゴロに倒れると、選手たちはマウンドに駆け寄り、歓喜の輪をつくった。4月に疲労性の腰痛に悩まされたが復帰し、この日、ロングリリーフで勝利に貢献した大谷内が泣いた。0-2で迎えた4回表1死二、三塁、右中間へ同点適時三塁打を放った小黒一輝右翼手(3年)の目にも涙があふれた。大谷内は「苦しい試合だった。終わったときはほっとして、そしてうれしかった」と胸を張った。

 青木宣親(31=ブルワーズ)流トレーニングの成果を出した。4年前、早大出身の大井道夫監督(71)が、先輩の元早大監督野村徹氏(76)からアドバイスを受けた。野村氏から青木が早大在学中に、腹筋と背筋を連日500回ずつこなし、体幹を鍛えることで打球のスピードを格段に上げたエピソードを聞いた。

 大井監督は冬場のトレーニングに取り入れた。選手たちは昨年12~3月まで連日、自主的に腹筋と背筋をそれぞれ500回ずつ行った。3年間続けたのが今の3年生。今大会4割4分で、この日も好投手椎野から2安打2打点の小黒は「変化球でも体がブレずに対応できるようになり、打球の勢いも変わった」と効果を口にした。4回の三塁打も椎野のスライダーを捉えた貴重な適時打だった。

 結束力も強まっていた。今春の県大会準決勝で村上桜ケ丘に敗退後、チームの雰囲気が沈んだ。太田成己主将(3年)を中心に練習前、練習後など不定期に選手同士でミーティングを開いた。その日の課題や不満をぶつけ合い、結束を強めた。太田は「それぞれの責任感が芽生えた」と話した。

 09年夏には県勢初の全国準優勝を経験した。中京大中京との決勝戦、最終回で見せた記憶に残る伝統の連打は健在だ。小黒は「甲子園で戦えるチームが目標ですから」。県代表でとどまる気はさらさらない。【塩谷正人】

 ◆日本文理

 1984年(昭59)創立の私立校。生徒数909人(女子331人)。野球部は84年に創部。部員数は108人。甲子園出場は春4度、夏は7度目。09年夏に準優勝した。OBに元阪神横山龍之介ら。所在地は新潟市西区新通1072。斎藤清校長。◆Vへの足跡◆2回戦4-1新潟第一3回戦6-0長岡高専4回戦6-3帝京長岡準々決勝6-5中越準決勝6-0巻決勝7-5村上桜ケ丘