<高校野球西東京大会:日大三5-0日野>◇28日◇決勝◇神宮

 日大三(西東京)は、都立勢で33年ぶり夏の甲子園を狙った日野に貫禄勝ちで、3年連続16回目の夏の甲子園出場を決めた。

 “コーラス打線”で西東京の頂点に立った。1回2死三塁、日大三の4番佐々木優一塁手(3年)が真ん中高めの直球を左翼線に運んだ。準決勝までスタメンの中で最も低い打率3割1分3厘の4番が、ここ一番で見せた。「チームに迷惑をかけていたので、何とかしてやろうと思って振った」と仕留めた。佐々木の適時打をきっかけに3回に3点、9回にもダメ押しの1点を奪い、日野を突き放した。

 2年前は全国制覇。6試合連続2桁安打の甲子園記録を打ち立て“史上最強打線”と言われた。当時のメンバーは、地方大会7試合で69得点だったのに対し、今年は6試合で75得点をマーク。1試合平均12・5得点で、準決勝までの5試合を全てコールドで勝ち上がった。小倉全由監督(56)は「初戦から点を取っても厳しいことを言ってきた。プレッシャーはあったけどよくやってくれた」と褒めた。

 打線のつながりを生んだのは、帰りのバスの中での“合唱”にあった。昨年6月の練習試合で敗れてから、重い空気を変えるために歌い始めたという。夏の大会では神宮球場から寮のある町田市まで約1時間の道のりを、ノンストップで歌い続ける。最後は決まって、ゆずの「栄光の架橋」で締める。森龍馬主将(3年)は「打てなかった選手も歌って気持ちを切り替えることができた」と効果を口にした。歌い始めてから夏の公式戦無敗と勝利のルーティンにもなっている。

 3年連続で甲子園切符をつかんだ。00年以降、西東京で8度の優勝。小倉監督は「甲子園でも歌って帰りますよ」と笑う。声を合わせることで気持ちを切り替え、チームの一体感が増している。2年ぶりに“栄光の架橋”をかけるまで、日大三が安打のメロディーを奏で続ける。【細江純平】

 ◆日大三

 1929年(昭4)創立の私立校。野球部も同年創部。生徒数は1207人(女子405人)。部員数70人。甲子園出場は春18度、夏は3年連続16度目。全国優勝は春1回、夏2回。主なOBはオリックス近藤一樹、阪神荒木郁也。所在地は町田市図師町11の2375。堀内正校長。◆Vへの足跡◆

 

 

 3回戦26-1成瀬4回戦11-2桜町5回戦14-2昭和第一学園準々決勝12-4専大付準決勝7-0創価決勝5-0日野