<高校野球宮城大会:仙台育英5-0聖和学園>◇30日◇準決勝◇Kスタ宮城

 2連覇を狙う仙台育英は、先発の鈴木天斗投手(3年)が投打に活躍。7回4安打無失点と好投し、高校入学後初本塁打となる2ランを放った。決勝は今日31日、Kスタ宮城で行われる。

 仙台育英エース、鈴木の「1号」が流れを変えた。0-0の2回表1死二塁。内角低めに入ってきたゆるいカーブを拾い、左翼へ運んだ。「1本は打ちたかったんです」。最後の大会で飛び出した高校1号に笑みがこぼれた。残塁3に終わった初回の嫌な雰囲気を断ち切り、野手陣にも刺激を与えた1発。佐々木順一朗監督(53)も「すごく助かりました」とねぎらった。

 これまで打撃に自信はなかったが、佐々木監督から「バッティングがいいのがいいピッチャーだ」と言われ奮起。今大会の開幕後にフォームを見直し、前のめりになる打ち方を修正した。その結果、今大会は11打数6安打。「(野手陣に)頼ってばっかりだったけど、今日はあの1本で勢いづけられた。ピッチングにもいい影響です」。投げても7回4安打無失点の好投を見せ、3戦で防御率は0・00。投打でチームをけん引した。

 決勝は先発、抑えどちらになるか未定だが、新チームでの優勝6度のうち「1回もやったことない」という“幕切れガッツポーズ”を夢見る。この日は7回に上林誠知外野手(3年)が2ランを決め「全部持ってかれた」と苦笑も、「明日は決めたいな」。決勝のマウンドで今度こそヒーローになる。【高場泉穂】