<全国高校野球選手権:組み合わせ抽選会>◇5日◇大阪フェスティバルホール

 初の大舞台で大役ゲットだ!

 春夏通じて初出場の北北海道代表・帯広大谷の杉浦大斗(ひろと)主将(3年)が選手宣誓を引き当てた。夏の北海道勢では、97年旭川大高・佐藤智寛主将以来2人目の大役。初陣は第3日第3試合で、福井商との対戦が決まった。

 全国のライバルたちの視線をくぎ付けにした。帯広大谷の杉浦主将が、15人が立候補した選手宣誓役を引き当てた。抽選会場に、チームメートが「ウォーッ」と喜ぶ歓声が響いた。本人は「やっちゃったなぁ」と、苦笑いで壇上の中央へ移動。緊張感が一気に高まる中、しっかり前を向いて思いの丈を話した。「95回の記念大会にふさわしい、歴史に残るような宣誓をしたいと思います」。大役を全うする覚悟を決めた。

 選手宣誓への立候補は、大阪入り前に決めていた。帯広での調整を終えた7月30日、国学院大4年で今秋ドラフト上位候補の兄稔大さんと無料通信アプリLINEでやりとりした。「宣誓に立候補すれば?

 どうせ当たらないから」。軽い感じで勧められた杉浦は、意を決して返信した。「95人の中に入ってくるわ」。毎回、たった1人だけが経験できる特別な役。今大会は95回の記念大会で、自分が95人目になるという意味を込めていた。

 そんな兄弟のやりとりが、現実になった。「周りの人の支えがあって、こうしていられるという感謝の気持ちを入れたい」。チームメートにも一緒に考えてもらいながら、宣誓文に着手する。大役のきっかけをつくった兄には「文章を考えてくれって感じですね」と、息詰まればアドバイスを求める構えだ。

 この日はずっと、引きが良かった。くじ引き順を決める予備抽選で1番。本抽選では希望通り「3日目第3試合」に入り、福井商との対戦が決まった。もし、開幕日の試合だったら立候補は取りやめていたという。すべてが思い通りのくじを引き続けた1日は「120点くらいですね」。97年に愛好会から始まった野球部の歴史に、再び、大きな大きな1ページが刻まれることになった。【木下大輔】