<全国高校野球選手権:組み合わせ抽選会>◇5日◇大阪フェスティバルホール

 「がばい」幸運の開幕戦を引き当てた。創部114年目で初出場の有田工(佐賀)が開会式直後の第1試合に登場する。94年佐賀商、07年佐賀北と日本一の2チームはいずれも開幕戦を勝利し優勝旗を持ち帰った。決勝戦での満塁弾のイメージが強いが、両校とも開幕戦で勢いをつけていた。県勢3度目のミラクルへ、有田工が挑む。

 相手は大垣日大(岐阜)だ。桑原耕生主将(3年)は「びっくりしてます。有名な常連校なので、強いだろうな」と苦笑い。それでも「圧倒されないように。甲子園の雰囲気を楽しみたい」と意気込んだ。開幕戦は巨人、ヤンキースなどで活躍した星稜出身松井秀喜氏も観戦予定。第2試合には地元で優勝候補の大阪桐蔭が登場する。例年以上の熱気が予想される大舞台。植松幸嗣監督(35)は「注目されるのはいいこと。有田町は焼き物も低迷しているのでアピールするいい機会」と前向きに考える。

 植松監督は「カギを握るのは古川の初回の入り」とエース古川侑利投手(3年)の右腕にすべてを託す。最速146キロ、キレのあるスライダー、そしてプロも評価するマウンド度胸がある。県大会決勝で味方が失策しても、逆転を許しても、表情ひとつ変えなかった。植松監督は「のんきというかプラス思考。開幕戦が決まってもニコニコしてましたよ」と笑った。

 初出場だけに、本来は甲子園で観戦し、グッズを買って気持ちを盛り上げるプランもあった。のんびりしている暇はなくなった。チーム練習の時間を増やし、大垣日大対策も急ぐ。大旗に直結する、がばい開幕戦勝利。有田工が歴史を塗り替える。【石橋隆雄】