青森県勢45年ぶりの初出場初勝利を狙う弘前学院聖愛に、心強い助っ人が現れた。同校OBで、4番成田拓也外野手(3年)の兄圭祐(21、日本文理大4年)が6日の練習で打撃投手を務めた。卒業後は社会人野球の強豪・熊本ゴールデンラークス入りも内定している左腕は約50分間、熱のこもった投球を披露。マウンドより5メートル以上手前から投げたボールを木製バットで打ち返され「打たれるわけないと思ったけど、自分たちの時とはレベルが違う」と弟ら後輩の実力に太鼓判を押した。

 恩返しがしたかった。甲子園出場決定直後、原田一範監督(35)に直訴して練習への同行が決定。大分からフェリーで11時間かけて2日に大阪入りした。毎日1時間近く投げ続けているが「少しでも力になれることがうれしい」と1球1球に思いを乗せる。「青森山田に負けて最後の夏が終わった兄の敵を取る」と聖愛に入学した弟がつかんだ悲願の甲子園。固い絆で結ばれた兄弟が、新たな歴史をつくる。【鹿野雄太】