<高校野球北北海道大会:江陵5-3池田>◇5日◇十勝地区Bブロック代表決定戦◇帯広の森

 江陵ナインが監督を泣かせた。池田に競り勝ち、10年ぶり4度目の北大会切符。12年4月から指揮を執る谷本献悟監督(33)は「2人しかいない3年生がここまで良く耐えて、チームを引っ張ってくれました」と、主将の渋谷拓巳右翼手と佐藤龍馬二塁手に感謝した。

 3番の渋谷は3安打4打点、3-3の9回には左翼越え2点二塁打で決勝点をたたき出した。初戦は広尾に延長サヨナラ、2回戦は帯広農に逆転勝ち。表彰式後は、この日2四球とつなぎ役を果たした2番の佐藤龍と「監督さんを泣かそうと思って、これまで頑張ってきました」と笑顔で声をそろえた。

 2人が1年秋当時のチームは、部員10人(2年生7人)で部存続のピンチ。谷本監督の熱意で翌春は1年生が集まったが、以後も結果はなかなか出なかった。渋谷が主将となった昨秋も、初戦で帯広南商にコールド負け。その夜は学校に戻り、11時まで練習したという。「どうして…」と渋谷も主将として悩んだが、そんな時は佐藤龍と相談し、乗り越えてきた。「チームには勢いがある。甲子園を決めて監督を男にしたい」。最後の夏、大きな通過点を越えた2人に笑顔があった。【中尾猛】