<高校野球埼玉大会:立教新座8-1聖望学園>◇16日◇3回戦◇大宮公園

 立教新座(埼玉)は、元巨人吉村禎章氏(51)の次男、吉村俊捕手(3年)が3安打3打点の活躍で、優勝候補の聖望学園に勝利した。

 また埼玉で「下克上」が起こった。ノーシードの立教新座が、Aシードの聖望学園をコールドで破った。8回裏2死二塁から坂井秀斗投手(3年)が左中間二塁打を放ち、二塁走者がホームを踏んで8-1。ナインはガッツポーズを繰り返し、喜びを爆発させた。主将で捕手の吉村は「山村国際が花咲徳栄に勝ったように、自分たちもやってやろうと思っていました」と大粒の汗を流しながら振り返った。

 最大のテーマは先制点を奪うことだった。先制すれば相手が動揺する。前日敗れた浦和学院も先制を許して敗れている。2回裏、斎藤匠馬外野手(3年)の中越え二塁打で先制した後、吉村の右前打でさらに1点を追加。4回にも1死満塁から再び、吉村が左前打を放ち、2点を奪って試合を有利に運んだ。

 ナインを奮い立たせたのが先発の坂井だ。低めに球を集め、狙い球を絞らせないよう直球を軸にカーブ、スライダー、フォークで幻惑した。坂井は「気合を入れた。吉村のリードを信頼して自分の投球を心掛けた」とホッとした様子。大野道夫監督(65)が「今まで見た中で最高の投球」と認める内容だった。

 まだまだ終わるつもりはない。4打数3安打3打点をマークした吉村は「試合を経て強くなっていきたい」と言った。この日も両親や同級生が授業を終えて駆け付けてくれたことに感謝している。前日15日に誕生日を迎えた大野監督も「今日の1勝はいいプレゼントだけどまだ小さいね」と笑った。戦いながら立教新座が進化する。【浅見晶久】