<高校野球千葉大会:東海大望洋13-2専大松戸>◇26日◇決勝◇QVCマリン

 東海大望洋が専大松戸を投打に圧倒し、夏は初の甲子園出場を決めた。

 ムキムキのマッチョナインが千葉を制圧した。東海大望洋が、夏初の甲子園だ。最後の打者を右飛に打ち取ると、雄たけびを上げながらマウンドで抱き合い、人さし指を突き上げた。3度胴上げされた相川敦志監督(53)は「本当にうれしい。過去3度の決勝では1点も奪えなかった。今日やっと取り返せましたね」と、2発を含む12安打13得点の初優勝を振り返った。

 試合前整列の時から優位に立った。体つきの違いが一目瞭然だ。相手スタメンより平均身長で3センチ下回っているにもかかわらず、平均体重では3・5キロ上回った。「ガタイを見比べて、負けないなって」とチーム一のマッチョ山口洲内野手(3年)は力を込める。

 冬場の「YouTube投稿トレ」で筋骨隆々の体を作り上げた。毎日必ず30分以上、筋力トレーニングに励んだ。スクワット160キロ以上、ベンチプレス100キロ以上など目標設定があり、達成者には特典がある。トレーナーの計らいでトロフィー、プロテインが贈られ、さらに試技成功動画が投稿サイト「YouTube」にアップされる。「テロップ入りの動画で、一番喜ばれてますね」と話す石井祐二郎内野手(2年)は、2回にチーム2本目の1発を放った。地味なトレーニングにも遊び心を取り入れ、地力を蓄えた。

 昨秋は県大会2回戦負け。「過去にない弱いチーム」と選手を酷評した相川監督は、チームの成長に涙が止まらなかった。「このチームで甲子園とは思いもしなかった。今年は(原)貢先生(東海大系列野球部名誉総監督、享年79)が亡くなり、何かそういう力も働いているのかな」。2回に先制本塁打を放った木村幸樹主将(3年)は、「いまだに信じられない。打って勝つ野球ができた」と目を真っ赤にして喜びを爆発させた。

 甲子園は、これまで大阪遠征のたびに立ち寄り拝んできた場所だ。初めて8月にその土を踏む。房総のマッチョたちが力の限り大暴れする。【加藤雅敏】

 ◆東海大望洋

 1986年(昭61)創立の私立校。前身は歌手美空ひばりさんなどを輩出した精華学園。生徒数は978人(女子318人)。野球部は86年創部。10年センバツ出場。夏は01、08、10年決勝進出も敗退。部員数は101人。主なOBはDeNA真下貴之ら。所在地は市原市能満1531。黒坂道生校長。

 ▼東海大望洋が初めて夏の甲子園出場を決めた。東海大系列の高校では、東海大四(南北海道)東海大甲府(山梨)に次いで今夏3校目。76年に東海大四、東海大相模(神奈川)東海大一(現東海大翔洋=静岡)の3校が出場して以来、38年ぶりの最多タイ。◆Vへの足跡◆2回戦9-2千葉国際3回戦3-2西武台千葉4回戦2-0袖ケ浦5回戦7-0渋谷教育幕張準々決勝5-0国分準決勝12-2東海大浦安決勝13-2専大松戸