<高校野球静岡大会:浜松工6-3常葉学園菊川>◇26日◇4回戦◇浜松市営

 浜松工が「帰ってきたエース」の活躍で常葉学園菊川を破り、2年ぶりの8強入りを決めた。昨秋は背番号1の杉本航平(3年)が、昨年9月16日以来の公式戦先発で、9回途中まで3失点の力投。度重なる負傷で今月上旬に復帰したばかりだったが、常葉菊川の連覇を阻んだ。

 杉本が常葉菊川打線を封じ込めた。8回まで単打2本で三塁を踏ませぬ投球。9回に3安打を浴び降板したが、久しぶりの先発に充実した表情だった。「練習試合でも5回くらいしか投げてなかったので、9回はマックスで行きました」。

 昨秋の西部地区決勝で常葉菊川と対戦。先発したがわずか3球で2点を失う立ち上がりだった。試合には勝ったが、その後の県大会の登板を最後に右肘を痛めマウンドを離れた。5月の連休で復帰も今度は右膝を痛める。走り込みすらできず、体幹を鍛えるなど地道なトレーニングを積むしかなかった。

 復帰は7月上旬。半年以上も投球ができず「感覚が戻るか不安だった」というのも無理はない。それでも復帰マウンドとなった24日の飛龍戦で4回からの6イニングを2安打1失点に抑えた。「飛龍戦は(先発の)加藤に代わって、気持ちでいった」と杉本。感覚を取り戻した。

 打撃でも6回に2点打を放った。受けた高洲俊作捕手(3年)も「真っすぐがよかった」と力投をたたえた。4年ぶりの4強をかけて常葉学園橘と対戦する。杉本は「連投でもいきます」ときっぱり。エース加藤賢哉(3年)を温存できたこともプラスになっており、杉本の好投が浜松工に勢いをつける。【加納慎也】