<高校野球静岡大会:静岡3-2掛川西>◇30日◇決勝◇静岡県草薙

 静岡が掛川西との伝統校対決に勝利し、3年ぶりの甲子園を決めた。3回に敵失で先制。その裏に逆転されても4回、辻本宙夢投手(3年)の適時打ですぐに追いつき、5回に安本竜二遊撃手(2年)の犠飛で勝ち越した。23度目の優勝に岸山智大主将(3年)は「他の3年が支えてくれた」と大粒の涙を流し、振り絞るように「感謝してます」と続けた。

 3年生の力を結集した。昨秋4番の加藤光晴外野手はこの夏、2ケタの背番号でベンチから声を出した。一塁コーチだった石垣春海外野手は今大会、志願してベンチから声を出す役割を担った。加藤は「この学年はつらい思いをしてきた」と涙をこらえた。ベンチの3年生8人のうち、中学時代に全国大会を経験したのは5人もいる。葛藤とも闘っていた。

 主将の岸山は言う。「秋は個人の能力で勝負した。それで豊川(愛知)に負けて、そこから一体感を出すようにしてきた」。東海大会は昨秋、今春(対三重)ともに、いずれも春のセンバツを経験した実力校に1点差で敗れた。勝つために6月、岸山が音頭を取って3年生で話し合った。「レギュラーを目指すが、それぞれが全力疾走をしよう」。捕手の防具つけや給水を率先して行う3年の姿があった。

 「監督を胴上げする」を合言葉に3年ぶりの頂点をつかんだ。「言葉だけでなく、夢がかなった」と岸山。前回11年は初戦で敗退しており、次の目標は聖地での勝利。11年ぶりの甲子園勝利も3年生の力があればかなえられる。【加納慎也】

 ◆静岡

 1878年(明11)に静岡師範学校中等課として創立された県立校。54年に現校名に。生徒数は980人(女子411人)。野球部は1896年創部で部員数は38人。甲子園は春14度、夏は23度目の出場。主なOBは日本ハム増井、巨人高木康。所在地は静岡市葵区長谷町66。鳥居春仁校長。◆Vへの足跡◆2回戦2-2駿河総合2回戦10-1駿河総合3回戦9-8静清4回戦10-0富士東準々決勝3-0掛川東準決勝6-3常葉学園橘決勝3-2掛川西