<全国高校野球選手権:甲子園練習>◇5日

 守備陣とエースが「聖地」で好感触を得た。静岡が午後0時半から甲子園で練習し、独特の雰囲気を吸収した。守備では送球ミスが出た後のフォローを確認。エース辻本宙夢(3年)ら投手陣も初体験となるマウンドの良さを確かめた。わずか30分という制限時間にせかされつつも、収穫のある練習となった。その後、尼崎ベイコム野球場に移動し、打撃を中心に2時間の練習を消化した。今日6日に注目の抽選会が開かれ、待望の対戦校が決定する。

 最悪の状況を想定した逆算の練習だった。静岡ナインは10分ほどの内外野ノックを終えると、再び内野ノックへ。すると一塁への送球は捕球せず、あえて後ろにそらした。見かねた他校の選手が球を拾おうとする珍しい光景…。その練習はカバーとクッションボールの確認が狙いだった。

 左翼に入る高良将貴(3年)は、三塁への送球が乱れた時の動きを振り返り「クッションやグラウンドの盛り上がりを確認した。ミーティングで共有したい」と明かした。1つのミスが勝負を分ける。少ない得点で競り勝つことを掲げ、県大会を制した静岡。ミスによる失点を最小限に抑える意識は全国でも同じだ。栗林俊輔監督(41)は「カバーと風向きを確認できた」と手応えを口にした。

 エース辻本は、あこがれのマウンドで10球ほど投球した。肩慣らし程度だが、傾斜や土の硬さがしっくりきたという。「投げやすい」と笑顔でひと言を発した後に「(マウンドに立って)沸き立つ感覚はなかったけど、楽しみだと思う」と実戦を待ちわびた。

 昨秋に現チームとなって以降、静岡は公式戦28試合のうち、草薙球場で18試合を戦った。副主将の石井優輝(3年)は「土は草薙の方が硬い。軟らかいので内野手は守りやすいと思う」と解説した。スタンドの傾斜も異なり、球の見え方が変わる点も確認。30分という短い練習を勝利のために有効活用できたようだ。岸山智大主将(3年)は「いよいよ、ここに立てた。楽しみに来たのではない。勝つために来た」と集中力を高めた。今日6日、ついに静岡の対戦校が決まる。【加納慎也】