<全国高校野球選手権:組み合わせ抽選会>◇6日◇フェスティバルホール

 この夏限りで若生正広監督(63)が退任する九州国際大付(福岡)は第4日第2試合で東海大四(南北海道)と対戦。福岡県大会7戦65得点7本塁打の強力打線で、指揮官初の日本一に挑む。

 強力打線が手ぐすね引いて初戦を待つ。県大会でサイクル安打を放ち、2本塁打と暴れたプロ注目の古沢勝吾遊撃手(3年)は「相手が決まって楽しみ。緩いカーブがあるんですよね。ひっかけないように打撃したい」。対戦が決まってわずか1時間。相手エース右腕・西嶋亮太(3年)が90キロ~80キロとも言われるスローカーブと、50キロ台の超スローカーブを使うという情報をいち早く入手し対策を練っていた。

 ドラフト候補の捕手・清水優心主将(3年)は「まだ相手はよく分からないが、つなぐ野球ができれば」と話すが、県大会ではつながるレベルが違った。西日本短大付の153キロ右腕小野郁(3年)から8点奪い7回コールドにするなど、力で強豪をねじ伏せてきた。

 若生監督は「ここに来るチームはみんな強い。やってみないと分からない。でもね、選手たちがみんないい子になっている」と、ナインの姿に驚いている。昨秋、沖縄で行われた九州大会では宿舎で深夜2時まで騒ぐなどして若生監督から雷を落とされていた。それが、今回は若生監督が「気持ち悪いくらい」というほど規則正しい生活を宿舎で続けている。

 打線の破壊力は全国トップクラス。エース左腕・安藤幸太郎(3年)ら4人の継投がはまれば日本一の可能性も十分だ。選手の誰もが口にする。「まだ準優勝が2回しかない、監督を最後に日本一にしたい」-。その思いは甲子園に来て、さらに強いものとなっている。【石橋隆雄】