甲子園生誕90周年に開催される第96回全国高校野球選手権大会は、台風の影響で11日に順延された。

 釧路のスピードスターが聖地を駆け回る。8日、開会式のリハーサルなどが行われ、北北海道代表・武修館も元気に参加した。対戦校別監督対談では、武修館の1番・柴崎宥輔二塁手(3年)が、初戦の相手、八戸学院光星(青森)の仲井宗基監督(44)から最も警戒する選手に“指名”を受けた。チーム一の俊足が攻撃の口火を切る。

 自慢の足が突破口となる。武修館のリードオフマン、柴崎が敵将からマークされた。小林正人監督(26)と対談した八戸学院光星の仲井監督が注目選手に「1番打者」と口にし「(武修館は)足を使いますからね」と警戒した。50メートル5秒8はチーム最速。北北海道大会準々決勝の天塩戦では3回に二盗、三盗を決め一挙4得点のビッグイニングを演出した。小林監督からもキーマンに指名される柴崎は「どんな形でも塁に出て、盗塁を狙っていく」と力を込めた。

 あこがれの舞台を初めて踏み、気持ちが奮い立った。この日、開会式のリハーサルに参加。甲子園練習では雨天によるグラウンドコンディション不良でグラウンドに立つことはできなかった。「早く試合がしたいなと思った」。初戦は大会第7日。待ち切れないといった様子だった。

 瞬発力は母親譲り。母望さん(44)は小、中学時代、スピードスケートの全道大会などで長野五輪銅メダリストの岡崎朋美さん(42)と同じ短距離種目に出場した選手だった。「足が速ければ損はない」との教えから腕の振り方などの助言をもらった。そのおかげで小学校6年間、リレーの選手のアンカーから外れたことはない。望さんは「息子が小さい時によく公園で一緒にかけっこをしていた。楽しんでほしい」と期待を寄せた。

 北北海道大会決勝で対戦した釧路工の伊藤伸主将(3年)は親友。それぞれの背番号が入ったおそろいのネックレスは宝物だ。決勝戦後、伊藤から「これも連れて行ってくれ」と「6」のネックレスを託された。本番ではユニホームの下に身につけるつもりだ。「釧路のみんなに甲子園での姿を見せたい」と柴崎。チームの初陣初勝利を飾る快足を披露する。【保坂果那】