第96回全国高校野球選手権(甲子園)は9日、台風11号の接近による降雨のため開会式と第1日の3試合が中止、順延となった。今日10日も中止とし、2日間順延で大会第1日は11日。聖光学院(福島)の4番安田光希内野手(3年)は、生まれ故郷の兵庫・尼崎市で急きょ練習した。

 思わぬ形で主砲が故郷に凱旋(がいせん)した。この日、聖光学院は休養日に充てていたが、60年以来54年ぶりに開会式が順延となり、急きょ市尼崎高の室内練習場を借りた。安田が中学まで育った尼崎市内にあり「家から歩いて20~30分」(安田)の距離。「(練習場所を)聞いてびっくりした」と目を丸くした。

 市尼崎は安田が生まれる前の83年夏、池山(現ヤクルト2軍打撃コーチ)を擁して甲子園に出場した。南武庫之荘中時代に「練習を見たことがある」と振り返り「懐かしいなあ、と思った」と笑う。近所でもあり、両親も「里帰り練習」に駆けつけた。ダッシュやノック、打撃など約2時間半、たっぷり汗を流した。

 神戸国際大付との1回戦は12日から14日になった。「練習ができる。プラスに考えたい」と前向き。明徳義塾(高知)の岸潤一郎投手(3年)とは小学6年で、盛岡大付の渋谷裕也内野手(3年)とは中学3年間チームメート。かつての仲間との同時出場も刺激にする。

 尼崎市に近い甲子園には、親戚や多くの友人も応援に来るという。「甘い球を見逃さない」。故郷での練習を弾みにして、安田が「好球必打」を誓った。【久野朗】

 ◆安田光希(やすだ・こうき)1996年(平8)4月12日、兵庫県尼崎市生まれ。小学4年の時、七松バファローズで野球を始める。6年でオリックス・ジュニアに選出される。中学ではヤンキース田中らを輩出した宝塚ボーイズに所属し、2年時に全国大会出場。聖光学院では2年秋から一塁手で4番。高校通算20本塁打。177センチ、77キロ。右投げ右打ち。家族は両親と弟3人。