<全国高校野球選手権:聖光学院4-2佐久長聖>◇19日◇2回戦

 エースの意地だった。聖光学院(福島)の右横手投げ、船迫(ふなばさま)大雅(3年)が2失点完投勝利を収めた。1回戦は2年生右腕、今泉慶太に先発を譲り、救援登板した。「あいつには投げさせたくない。最後まで責任を取って抑えたかった」と期するものがあった。

 初回に先制点を許した。甘い球を痛打され、2回以降は緩急をつけながら、内外角へ投げ分ける意識を強くした。緩いカーブを使い始め、最速135キロ速球とスライダーなどを織り交ぜて連打を許さなかった。今泉に代わり、船迫を先発させた斎藤智也監督(51)は「遅いカーブが決まり出してから良くなった。スライダーもね」と完投をたたえた。

 入学時は体重52キロで、最速は110キロ台。球を速くするために先輩のアドバイスを受け、鉄棒での懸垂やウエートトレで、毎日体を鍛えた。5回しかできなかった懸垂は、今では30回こなす。体重は10キロ増の62キロ。身長172センチと投手としては小柄だが、球速は20キロ以上アップした。「次も先発したいです。相手に向かっていく」。責任感の強いエースの好投で4年ぶりの夏2勝。福島県勢は夏通算30勝に到達した。