<全国高校野球選手権:三重9-3沖縄尚学>◇22日◇準々決勝

 三重が「ライアン打ち」で初の4強を手にした。沖縄尚学の「琉球のライアン」こと、山城大智投手(3年)を5回8得点でKO。西岡武蔵内野手(3年)が先制打&1発で試合を決めた。今日23日は休養日で、24日に準決勝が行われる。

 三重4番の責任感が初のベスト4へ導いた。初回に先制打を放った西岡が5回にソロ本塁打。4番が口火を切ってこの回一挙5得点。V候補のエース「琉球のライアン」こと山城KOを導いた。西岡は2安打2打点2四球の結果に「この前の試合は守備でも足を引っ張って今回はチームのためになんとか、という気持ちでした」とホッとした様子だった。

 3回戦の城北戦は5打数1安打、自らの失策から追加点も与えてしまった。「守備のミスがすごく悔しくて」。この日も3回にエンドランを失敗。4回には沖縄尚学・4番安里がソロ本塁打を放ったことに、中村好治監督(60)から「お前もあれぐらい打ってこい」とはっぱをかけられ奮起した。たまったもやもやを全て吹き飛ばす豪快なソロアーチ。「完璧でした」と顔がほころんだ。

 中村監督は「普段から一生懸命信念を持ってやっているところがいい」と信頼を置く。今夏の県大会前には守備練習中に打球が当たり、あごを切るけがをした。それでも痛がるそぶりは決して見せず、練習を休もうともしなかった。「武蔵」という名は「強い子に育ってほしい」という父一泰さん(49)の思いから付けられた。名に恥じない強い心の4番がチームを引っ張る。【磯綾乃】

 ◆三重県勢の4強

 55年優勝の四日市以来、59年ぶり。平成以降、福島、三重、富山、鳥取、徳島の5県は夏の4強がなかった(富山は昭和以前も含めて4強未経験)。