<高校野球福岡大会>◇3日◇1回戦

 全国高校野球福岡大会が開幕した。今春から大悟法久志監督(63)が率いる青豊が小倉西と延長11回の熱戦の末に7-6でサヨナラ勝ちした。

 胸に「青豊」の文字が刻まれたこの夏新調したという新ユニホームに初勝利を刻んだ。「去年の甲子園以来の緊張感がありましたね。こうして勝てたことが最高ですよ」。監督生活41年目となるベテラン大悟法監督にとってもドキドキの1勝だった。

 初戦は1点を争うシーソーゲームとなった。3回にエース木本涼介(3年)の本塁打などで逆転。8回表には逆転されたが、その裏同点に追いつくと延長戦にもつれこむ接戦となった。11回裏、2死二塁で1年生ながら4番に座る岡田大輔が右前打を放ちサヨナラ勝利だ。「直球を待っていたけどカーブが来た。自然に体が反応しました」と1年生のヒーローは興奮気味に話した。

 大悟法監督は昨秋の国体を最後に明豊の監督を勇退。その後「地域の発展のために力を借りたい」と地元の人々に請われて4月に青豊の監督に就任した。強豪私立から普通の公立校へ。用具も照明もない環境で、就任当時は練習後、夜10時までミーティングで心構え戦術などを説いた。「生徒はきつかったと思うがよく頑張ってくれた。その成果がこの勝利になったんだと思う」と選手の粘りをたたえた。エース木本涼は「監督が来て野球への取り組みが変わりました。奇跡です。(甲子園も)夢じゃないと思えるようになった」と話す。

 63歳の再チャレンジ。「明豊も気になるが、今はこの子たちがかわいい。今まで経験したことを教えて夢を与えたい」。大悟法監督は孫ほども年齢が離れた子どもたちを、優しく見つめた。【前田泰子】