<高校野球福岡大会>◇7日◇2回戦

 2年連続へ、九州国際大付が圧勝コールド発進した。昨夏の福岡を制した九州国際大付が、折尾愛真との初戦に登場。打線爆発の13-2で6回コールド勝ちした。プロ注目の榎本葵外野手(3年)も、初回に先制適時打を放つなど、活躍した。

 「顔見せ」としては、十分な働きだった。初回、1死一、三塁のチャンスで4番榎本に打席が回る。簡単に追い込まれたが、ここからが真骨頂。カウント2-1から内角球をつまりながらも一、二塁間に運んだ。夏初戦の安打は、この1本だけ。それでも榎本は「チームが勝てたんで」と会心の笑みを浮かべた。

 1年から4番に座るスラッガー。樟南(鹿児島)との2回戦で、9回に決勝アーチを放った昨夏の甲子園で「ドラフト候補」に躍り出た。この日、ネット裏からはオリックス、横浜、広島のスカウト陣が熱視線。オリックスの熊野編成部国内グループ副部長は「昨年から知っているから、確かめに来ているだけ。打つことに関しては素晴らしい。タイミングの取り方が柔らかい」と高く評価した。

 若生正広監督(59)も主砲について「いい打者だよね。パワーついたけんね」と成長に目を細める。高校通算46本塁打のアーチストだが、最後の夏に榎本は“魅力”を捨てる覚悟だ。「ボクに甘い球はないと思う。本塁打は狙わず、つなぎの打撃をしたい」。卒業後の「プロ志望」を公言。それでも個人のアピールより、チームの勝利だけを考える。「甲子園でもう1回プレーしたいと、ずっと思っているんで」。主砲である前に主将に徹する。【実藤健一】