<高校野球山形大会>◇16日◇1回戦

 東根工が大会1号本塁打で、山形大会開幕戦を制した。6回まで3安打に抑えられたが、7回裏無死二、三塁から6番松浦昂広(3年)が左翼越えに決勝3ランを放ち、村山農を4-1で振り切った。

 1-1の7回裏、攻撃前の円陣で、佐藤忠博監督(36)から「どんどん振っていこう」とゲキを飛ばされ、東根工打線が火を噴いた。先頭の4番松本耕太と5番叶内伸弥主将(ともに3年)の連打で無死二、三塁。この日一番の好機で打席に立ったのは今夏、打撃を買われてレギュラー入りした松浦だった。カウント1-1からの真ん中低めの直球を左翼スタンドへ運んだ。値千金の公式戦1号に「タッチアップで1点は取れると思っていましたが、まさか入るとは思わなかった。最高です。ビックリです」と笑顔。強攻策の佐藤監督は「確率は低いが長打力はある。不器用なので小技(バント)は考えなかった。よく打った」と松浦をたたえた。

 守備面に課題を抱え、これまで捕手、一塁手、左翼手とコンバートされた。高校最後の夏に生き残る道は打撃しかなかった。佐藤監督の素振り指導は数よりもフルスイング。重めのバットでパワーとスイングスピードを磨いた。

 次なる相手は、今春センバツ出場の第1シード山形中央だ。この日、2打席まで変化球に対応しきれなかった松浦は「迷わずにフルスイングしてヒットを少しでも多く打ちたい」と相手投手攻略に意欲を見せた。【佐々木雄高】