<高校野球南北海道大会>◇21日◇準々決勝

 春6、夏7度の甲子園出場を誇る函館大有斗が11-3で立命館慶祥を破り、南北海道4強一番乗りを決めた。昨秋から公式戦全17試合で先発している左腕エース堤口竣太(2年)が、8回4安打3失点の力投。夏のベスト4は前回甲子園の97年、片口伸之監督(30)が2年生投手として出場して以来13年ぶりになる。

 1年秋から函館大有斗の背番号1をつけている堤口は、4強を懸けた立命館慶祥戦が通算7試合目の円山のマウンドとなった。2年生投手として道大会の経験は豊富だが、1回裏の投球前に落ち着かなかった。「いろんなプレッシャーがすごくあって…」。左後ろのポケットから友人にもらったお守りを取り出し、少し見てまた戻した。

 いざ投げ始めると、不安や重圧を霧散し、打者に立ち向かった。初回は3者凡退。2回は先頭打者に死球を与え、バントで送られ1死二塁となったが、後続2人を切った。3、4回は3者凡退。5回1死から失策で許した走者は、けん制で刺した。キレのある速球でカウントを稼ぎ、ボール球を振らせ、6回2死まで無安打投球。4安打で3点は奪われたが、打線の援護を受け8回まで踏ん張った。

 「大したもんですよ。走者がいても変わらずに、打者に強い気持ちで向かって投げている」。投手として97年に春夏連続で甲子園のマウンドを経験した片口監督は感心する。当時は3年生エース神田朋和との2枚看板。くしくも13年前の南大会準々決勝(対札幌新川)は片口監督が先発し、7回10奪三振の好投で勝利。今回と同じ4強一番乗りを果たしている。「僕らは交代で投げていましたから。堤口は1人ですからね」と片口監督は話す。

 そんな2年生エースを支えるのは3年生だ。終盤のピンチには、先制本塁打を放った木村三塁手や主将の花田一塁手らが何度も声をかけて励ました。ベンチ入りできなかった9人の3年生は学校規則で札幌遠征に帯同できず、この日は函館で授業を受けた。決勝まで進むと、遠征許可が下りることになっている。チームを支えてきた3年生の存在が「ここで負けてたまるか」と堤口の闘志に火をつける。13年ぶりの甲子園まであと2勝。「次の1試合に集中します」と大きな決意を胸に準決勝に挑む。【中尾猛】