<高校野球京都大会>◇26日◇決勝

 近畿の甲子園一番乗りは京都外大西だ。京都大会決勝で、05年夏の甲子園準優勝校・京都外大西が京都翔英に8-0と圧勝。エース中村允(まこと=3年)が公式戦初完封で、3年ぶり9度目の出場を決めた。

 一塁側ベンチから猛然と、控えメンバーが飛び出して来た。ゲームセットを待ち切れない仲間に、エースはあっという間にもみくちゃにされた。中村と久須美亮太主将(3年)のバッテリーを真ん中に、3年ぶりの歓喜の歓声が真っ青なわかさの空にあがった。

 「昨日から早く決勝をやりたくて、楽しみで仕方がなくて。高校に入って初めて完封することが出来ました」。さわやかな顔で、中村は笑った。9回以外は毎回、走者を出した。走者を背負うたび、丁寧に低めをついてゴロを打たせた。守備陣も4度内野ゴロ併殺を完成させ、エースの力投に応えた。すべてがかみ合っての97球完封だった。

 1年夏からベンチ入りし、4回戦・洛星戦の2番手で初登板。無失点で切り抜けた。だが3番手で登板した準決勝・福知山成美戦でわずか1/3イニングで4失点。「決めに行った球を次々に打たれてしまった」。2-12の5回コールド。無惨な敗戦にぼう然とした。以来目の色を変えて、京都市西京区の野球部グラウンド周辺の坂道を走り込み、下半身強化に取り組んだ。だが昨夏も福知山成美に敗れ、秋は龍谷大平安に負けた。甲子園出場へチャンスは残り1度になった今年の2月、先輩で今秋ドラフト1位候補にあがっている大野雄大(佛教大4年)と出会った。

 大学野球部の元部員の不祥事で全体練習が出来ず、母校に練習に帰ってきた大野と隣同士で投げ、一緒に走った。打者を追い込むまでは大胆に投げ、ウイニングショットで細心の注意を払う大野の話がまた中村を成長させてくれた。「いろんな経験をして、きょうのこの完封がありました」と中村は言った。

 1年生の守護神、本田拓人が大活躍した05年夏の準優勝に象徴されるように、今夏も複数投手で頂点を勝ち取った。ただ上羽功晃監督(40)は「大黒柱がいてくれるのが理想ですよ」と明かした。3年ぶりの甲子園で、エースはそんな存在になるかもしれない。【堀まどか】