虎が80周年のメモリアルイヤーにふさわしい、連日の劇勝で発進だ。0-0のしびれる展開の結末は、延長10回サヨナラ勝利。球団史上初の開幕サヨナラ連勝スタートを切った。単独首位にも立って言うことなし! ミラクル続きでメモリアルイヤーVへの開幕ダッシュ決めるで~。

 80年の伝統を誇る阪神が、誰も見たことのない開幕連勝発進を演じた。神懸かりとしか思えない。0-0の延長10回無死満塁。代打関本は貫禄たっぷり。わずか2球で追い込まれたが、ファウルで粘り、フルカウントに持ち込む。8球目、祖父江の直球は胸元にすっぽ抜け、左腕を直撃。サヨナラだ。開幕から2日連続のサヨナラ勝利は球団史上初。和田豊監督(52)の声が上ずるのも無理はない。

 「サヨナラでも、何でも勝てばいい。昨日のアレがあったから、こういう試合になっても取れたと思う。いまは勝ち方うんぬんじゃない。勝つことでチームの状態を上げていきたい」

 前夜の開幕戦は延長戦でマートンがサヨナラ打を放った。この日は投手戦。ジリジリする展開でもシナリオを描く。何かに導かれるような劇的な結末だった。無死一、二塁で梅野が三塁寄りにバント。マウンドから駆け下りた祖父江が処理し三塁に投げようとした瞬間、人工芝に滑って体勢を崩した。敵将の谷繁兼任監督は思わず天を仰ぐ。無死満塁で勝負あり。指揮官はベテランの勝負強さにうなる。

 「ベテランのなせる技…。ベテランと言うと関本に怒られる。働き盛りのな。顔で取った死球。追い込まれてもファウルで粘った」

 意気盛んな関本も、してやったりの表情だった。サヨナラ死球は12年5月27日西武戦(甲子園)以来、3年ぶり。お立ち台でも「それが持ち味です! 必死のパッチです」と叫び、虎党を沸かせた。

 開幕2戦目で早くも単独首位。和田監督は「体、持たないよ。そんなの言ってたら」と笑う。球団創設80周年の今季は日本一を狙うが、いきなり球団史上初の開幕サヨナラ連勝。熱く、痛快な2日間。Vロードにふさわしい幕開けになった。【酒井俊作】

 ▼阪神が開幕戦に続いてサヨナラ勝ち。開幕から2試合連続サヨナラ勝ちは13年ロッテ以来、プロ野球9度目。阪神では初めて。2試合とも延長10回で決着。2試合とも延長は62年東映、90年巨人、13年ロッテに次いで4度目。東映と巨人は勢いに乗って優勝したが、阪神はどうか。