中日高橋周平内野手(23)が自身初、ナゴヤドーム開場21年目で初のランニング本塁打を記録した。チームでは06年8月に福留(現阪神)がヤクルト戦(神宮)で打って以来だ。

 決して俊足ではない背番号3は無我夢中で走った。7回1死。エスコバーの直球を打った飛球は左翼線にフラフラと上がった。前進してダイビング捕球を試みた筒香が後逸。「最初はフェアかファウルかも分からなかったから。二塁を回ったときに行けるかもと思った」。転々とする間にベース1周して、頭から本塁に滑り込んだ。

 ナゴヤドームは外野フェンスのふくらみが大きく、柵越え本塁打は出にくい。後逸のリスクを考えて外野手は無理に突っ込まないケースが多い。一瞬も気を抜かず本塁を目指した判断が光った。森監督は「飛んだ場所も追いかけてくれた人もよかったし、同じことをやれと言われても無理。ホールインワンと同じようなもの」と苦笑いした。

 不振で出遅れ、8月中旬から1軍定着した高橋は、持ち前の長打力とは違う形の今季2号でアピール。「使ってもらっているので一生懸命やるしかない。なにくそというか、もっと打ちたい。もっといいものを見せるという気持ちでやっている」と珍事にも笑顔は見せず、意気込みを示した。【柏原誠】