最初から最後までDeNAはホームの追い風を生かせなかった。相手と同じ7安打も2戦連続1点差負け。ラミレス監督は「やるべきことはやったが、向こうの方がよく振れていた。アグレッシブにいけば、勢いが出るが、それがうまくいかなかった」と悔やんだ。

 スタートダッシュに失敗した。初回3試合連続先制点を許し、裏の攻撃。先頭四球を選んだ桑原に「ランエンドヒット」のサインを出すも二盗失敗。さらに続く四球で出塁した梶谷に、3番ロペスの打席の3球目に出した「盗塁」のサインでスタートを切れず。一方で、2死一塁の打者筒香の場面で、直球で走ったが失敗。積極策が紙一重で自滅に転んだ。

 横浜スタジアムでは98年10月26日以来6945日ぶりの日本シリーズ。試合開始前、3万枚無料配布された「SHOW THE BLUE.」と書かれたタオルとともにスタンドは満員に埋まった。一体感から後押しを受け、1点差に迫った6回2死満塁で1番に固定し続けた桑原。今シリーズ12打席無安打のバットは、当たりこそ安打性も、右翼正面のライナーに泣いた。2連敗にも気負わず自然体で臨んだゲーム。同監督は「いまさら何かを変えて欲しいとは思っていない。ミーティングで何かを言ったとしても、プレッシャーになるだけ。僕も選手のときにそう思った経験がある。リラックスしてしっかりやって、エンジョイしてくれればいい」。ロッカールームには大音量で音楽が流れた。約1カ月ぶりのホーム。スタイルは貫いたが頂点をかけた戦いで出し切れず土俵際に追い込まれた。

 本拠地での日本シリーズは、球団史上6試合目にして初黒星。今日1日の第4戦で負ければ、シーズンが終わってしまう。同監督は「そういうことは考えずに、明日の試合だけに集中して、強く戦いたい」。3連敗から4連勝で日本一は過去3度。奇跡を起こすには前を向くしかない。【栗田成芳】

 ▼DeNAは1回に桑原、梶谷が盗塁に失敗。シリーズで1イニング2盗塁死は14年第5戦阪神が3回に記録して以来2度目のタイ記録。阪神はマートン、上本の2人が二盗に失敗した。この時のバッテリーはソフトバンクの摂津-細川で、1イニングに2度盗塁を刺した捕手は細川に次いで高谷が2人目。