「星野のDNA」とくれば武勇伝? 止まらない列伝第2弾。元気と笑いをこよなく愛した星野さんのDNAを一気に!

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 (7)突入 中日監督時代、ある選手がマスク姿でグラウンドに登場。「風邪か」と聞くと否定し、理由を問うと無言に。問い詰めると「女性関係で間違いを起こし男性に殴られたのです」。マスクをはぎ取ると歯が1本もなかった。「謝ってくる!」と単身、男性宅へ行き「ウチの選手がスイマセンでした」と謝罪。男性は感動し和解。

 (8)神采配? 07年12月3日、北京五輪アジア予選の台湾戦。1点を追う7回無死満塁でスクイズを指示。星野監督が最後に手をたたくのがサインだったが、あまりに度胸ある手に、周囲は「興奮のあまり、無意識にやってしまったのでは」と絶句。見事成功で五輪キップを獲得し、本人は「ばか野郎! そんな訳…そうだったかも」と高笑い。

 (9)謎の退場 08年北京五輪キューバ戦の9回。ハーフスイングを取られ、ぶぜんとして代打を告げに出ると、仏頂面に押された審判が、おびえて退場をコール。敗戦もあって試合後の不快指数はマックス。真相は闇の中へ。

 (10)太っ腹 楽天銀次の結婚式に満を持し登場。得意げに分厚いご祝儀を渡した。封筒が立つ漫画のような光景に「とんでもない額を包んでもらった」と、恐る恐る封を開けた銀次。中身はすべて1000円札だった。

 (11)用心棒 明大時代、島岡監督から用心棒役を拝命し、いつも隣を歩いた。当時は学生運動が盛んで監督も狙われる立場だったが、最強SPとしてフル稼働。深い信頼を得た。

 (12)灯台もと暗し 明大入学直前、倉敷から上京し野球部の練習に参加。寮への帰り道で、知らない若者に因縁を付けられた。「田舎モンをなめんじゃねぇ!」と血祭りに上げたまではいいが、寮で再び鉢合わせに…明大野球部の先輩だった。当然、返り討ちに。

 (13)敵無し 緊張したことは1度もなし。小澤征爾コンサートのあいさつで壇上に立ち、タクトを拝借して振ったことも。「カ・イ・カ・ン。案外できる」。8代将軍徳川吉宗を「アイツの政策も大したもんだよ」と親友のように評価した。

 (14)尊敬する人・好きなテレビ番組 名作「ゴルゴ13」は全巻所有。殺し屋デューク東郷に心酔し「アイツは失敗しない。一発で仕留める。余計な口をたたかないのもいい」。リビングのテレビは衛星「アニマルプラネット」が定番だった。

※各項は生前の星野さんの証言と目視による確認に基づいています。【宮下敬至、古川真弥】