【スコッツデール(米アリゾナ州)10日(日本時間11日)=木下大輔、中島宙恵】日本ハム斎藤佑樹投手(29)が開幕ローテーション入りへ、上々の滑り出しだ。チーム初実戦となる韓国・KT戦(スコッツデール)に3回から2番手で登板。打たせて取る、昨季確立した投球スタイルで2回無安打無失点と好投した。結果を求めて上がったマウンドで、思い通りのアピールに成功。先発陣のサバイバルレースで、スタートダッシュを決めた。

 4回2死一塁。斎藤が投手返しの打球に反応した。グラブで勢いを殺した打球を冷静に右手でつかみ、一塁へ転送。予定の2イニングを無安打無失点という結果で投げ終えた。「結果が欲しいと言っていたので、それに関してはよかった」。首脳陣へアピールするには、内容だけではなくインパクトのある数字が必要と自覚する。この日は内容も数字も、求めていた通りの結果となった。

 6個のアウトのうち、5個がゴロアウトだった。「低めに集めてボールを動かして。去年から、ずっとやっているのでゴロが多かったのはよかった」と笑顔を見せた。直球とカットボール、ツーシームを中心に組み立てた。右打者にはツーシームで内角をえぐり、外角へ鋭く曲がるカットボールで空振り三振も奪った。左打者には挑戦中のチェンジアップを1球試した。近年の得意球だったフォークや、かつての決め球スライダーは封印。それでも、思い描いた配球で「ゴロが欲しくてゴロが取れている」と、手応えを得た。

 堂々たる投げっぷりは周囲の心も動かしていた。栗山監督は「空気感がとても良かったですね。ゲームを支配する感じ」と、醸し出す独特の存在感をあらためて再確認した。早実の後輩で、この日実戦デビューした清宮も「ベンチから見ているだけでしたけど、感慨深いものがありました」。斎藤が優勝投手になった06年夏の甲子園を見て、野球を始めた黄金ルーキーにも刺激を与えた快投。「まだ1回。続けられるように。1失点でも少なく」と斎藤。結果を積み上げて、ポジションを勝ち取る。【木下大輔】