首位を独走する広島から、新星が誕生した。高卒2年目左腕の高橋昂也投手(19)が、うれしいプロ初勝利を挙げた。3回に3者連続三振を奪うなど、6回3安打2失点の力投。巨人菅野に投げ勝った。この日、広島市内のホテルでは4月23日に上行結腸がんのため71歳で死去した元広島内野手、衣笠祥雄氏の「お別れの会」が行われた。若鯉の活躍で鉄人にささげる勝利を挙げ、チームは今季初の6連勝をマークした。

 プロ0勝が沢村賞右腕に投げ勝った。高橋昂がプロ3度目登板で巨人菅野との投げ合いを制した。「最高です。全体的に自分の力を出し切れたのが大きい」。2年目左腕が、チームを今季初6連勝、40勝リーグ一番乗りに導いた。

 初の本拠地登板。1回、内野ゴロの間に1失点も冷静さは失わない。3回の3者三振など計7三振。過去2度の登板は振るわなかったが、2軍で「強い真っすぐを投げること」を意識して修正。生命線にする右打者への内角球も随所に決まった。菅野とのマッチアップには「自分が勝ったというより、野手の方のおかげ」と謙遜した。

 球団の10代先発勝利は06年斉藤悠葵以来。スタンドで観戦した両親はじめ「いろんな方に感謝したい」と振り返った。投手の才能を発掘してくれた恩人にも白星を届けた。元巨人捕手の斎藤勝博さん。小学校チームのコーチだった。高橋昂は言う。「入ってすぐキャッチボールを見て『ピッチャーをやれ』と言われたのがきっかけ。投げ方の基本を教わった」。独特のテークバックの基礎は、当時の指導で身についた。

 熱心に教わった斎藤さんは11年1月に膵臓(すいぞう)がんで亡くなった。66歳の若さだった。中学生だった高橋昂は通夜に参列。悲しみに暮れた。花咲徳栄(埼玉)で甲子園を沸かせ、次はプロでの活躍を「恩返しに」と誓った。斎藤さんの所属球団だった巨人から初勝利。不思議な縁だ。

 高校時代は横浜・藤平(楽天)作新学院・今井(西武)履正社・寺島(ヤクルト)と高校ビッグ4と騒がれた。藤平、今井に続くプロでの白星。「まだまだ1勝。これからチームに貢献したい」。将来を担う19歳は、真っすぐに前を見つめた。【大池和幸】

 ◆高橋昂也(たかはし・こうや)1998年(平10)9月27日、埼玉・久喜市生まれ。花咲徳栄2年夏に甲子園8強、3年春夏も連続出場。作新学院・今井、横浜・藤平、履正社・寺島と「ビッグ4」と呼ばれた。16年ドラフト2位で広島入団。昨年のファーム日本選手権で巨人相手に勝利投手。今年4月4日ヤクルト戦で1軍デビュー。181センチ、87キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸600万円。