攻める! 広島新井貴浩内野手(41)が22日、マツダスタジアムでチームメートとともに調整を行った。今季限りでの現役引退を表明しており、ソフトバンクと争う日本シリーズが最後の戦い。それでも感傷に浸ることなく、広島の34年ぶり日本一に貢献することしか考えていない。最後まで攻めて、攻めて、攻め抜くつもりだ。

カウントダウンが始まった。今季限りでの引退を表明している新井にとって現役として残されたプレー機会は、最少で4試合、最大でも7試合となった。この日の全体練習。チームメートと談笑しながら汗を流し、決戦のときに備えた。

「自分がこれでユニホームを脱ぐとか、自分のことで感傷的になることは全然ない。日本一になることしか考えていない」

まずは27日、日本シリーズ初戦に照準を合わせる。CSファイナルステージ2戦目には起死回生の同点打を放ったように、勝負強さは健在。チームメートからも「引退撤回するのでは?」という声が上がるほどの動きを見せる。本人もまだ、ユニホームを脱ぐ姿など想像していない。グラウンドに立ち、ファンを喜ばせるために全神経を注いでいる。

日本一へは3度目の挑戦となる。阪神時代の14年、広島での16年以来。14年のシリーズでは故障もあり、出場機会がないままソフトバンクに屈した。今年も投打ともに強力な戦力を擁し、ソフトバンクは2位からCSを勝ち上がってきた。投手は豊富な駒を存分に生かした早めの継投。打線もバリエーション豊富で、控えの層も厚い。「投手も野手もレベルが高い。いい準備をして臨みたい」と警戒する。

CSは優勝チームとして、負けられない重圧があった。それは新井も認めつつも「日本シリーズはそういうものがない」と言い切る。現役最後の日本シリーズで三度目の正直となるか。「1つのミスが命取りになる。かといって、ミスを恐れることなく、積極的に行かないといけない。気持ちの面でも攻めていくことが重要。うまくいかないときも次、次と行かないと、すぐに終わってしまう」。かわいい後輩たちとのプレーをかみしめながら、貪欲に勝利を求めていく。最後の最後まで、新井のスタイルは変わらない。【前原淳】